横浜国立大学 理工学部/理工学府 関口研究室 スピントロニクス研究室

スピントロニクス・マグノニクス



  • ナノスケール磁性細線におけるスピン波伝送の研究
  • スピン軌道トルクによるスピン波伝送の変調の研究
  • マグノン密度の時間発展の可視化
  • スピントルクナノオシレータによる局所スピン波励起の研究


磁性体におけるスピン波を自在にコントロールし、磁気波動の非線形ダイナミクスや干渉効果などの基礎物性を明らかにし、 革新的省エネルギーデバイスの基盤技術開発を目指す研究分野を「マグノニクス」と呼びます。 スピン波を量子力学的に扱い、粒子(マグノン)が伝搬すると考えると直感的にわかりやすいため、エレクトロニクスとの類似からマグノニクスと名称がつけられています。

ニューロコンピューティング(脳型機能デバイス)



  • スピン波伝搬における非線形現象の解明
  • 電界による磁気異方性制御の研究
  • スピン波によるリザバーコンピューティングの研究


膨大なデータを扱う情報処理機器においては、情報をサーバに集約して処理することは、逆にサーバの処理能力が低下する可能性があります。 そこで、端末機器自体あるいは端末機器の”エッジ”において、自律的な情報処理を可能とするエッジコンピューティングが求められるようになっています。 その中で磁性体における波動現象であるスピン波は、 短時間メモリや非線形効果などの特徴を有するため、エッジコンピューティングデバイスに搭載可能な物理リザバーに応用が可能であると考えられています。

マグノントランジスタ(次世代コンピューティング素子)



  • スピン波演算素子(マグノントランジスタ)の研究開発
  • マグノニック結晶の創生
  • 超低電力マグノン演算原理の開拓


情報処理デバイスの中核を担うトランジスタは、従来より電子をキャリアとして発展してきました。 しかし、配線密度・集積度の上昇や、動作周波数の上昇によって消費エネルギーが大きくなっています。 一方、従来の電子デバイスと異なり、磁性体に存在するマグノンはジュール発熱を起こさない新しいキャリアとしての可能性を持っています。 本研究室では、スピン波(マグノン)を活用した次世代低消費電力トランジスタの研究を行っています。

マグノン量子凝縮



  • マグノンのパラメトリック励起の研究
  • マグノンボースアインシュタイン凝縮の時間発展の可視化
  • 磁気ソリトンの研究
  • 熱ーマグノン変換の研究


ボースアインシュタイン凝縮は量子多体効果の中でも非常に興味深い現象です。 マグノニクスが対象とするマグノンはボソンであり、巨視的凝縮体を形成すると指摘されています。 超伝導や超流動のように極低温でなくても、室温で生じる巨視的量子効果である可能性があり、 その付随現象は未解明です。我々はマグノン数を計測するBLS分光装置によって、この興味深い物理現象を研究しています。